待機児童解消の対策……「保育園義務教育化」でもなく、「母親を圧迫する三歳児神話」でもなく


東京都の「待機児童解消の対策」が、小池新知事のもと発表されました。
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やはりというか、当然というか、保育所の規制緩和と事業者への補助金拡充に力が入れられているわけですが、何だかモヤモヤしてしまいます。

さて、2015年頃にあった「保育園義務教育化」という言葉の響きには、心の底から大反対です。

小学校等の義務教育化は「子どもたちの基礎的学力のため」という大切な目的があります。子どもたちが未来を生きるための権利です(それが現代において十分機能しているかはさておき)。

保育園の義務教育化、目的を明文化するなら何となるのでしょう……「大人の労働のため」「大人の時間確保のため」??

「義務教育化」という響きは、親(大人)の子どもへの無関心を助長させるように感じます。
私たちは子どもを預けるために産むのでしょうか?
私たちはどうあっても「働く」ために生きているのでしょうか。

……かといって、「3歳まではそばにいて!(母親を圧迫する三歳児神話)」派でもありません。

働く必要があったり(家計のため/仕事内容のため/自己キャリアのため……最後のキャリアについては子育てから復帰後の職業選択がもっと寛容な社会になることで不要な理由になってほしいと思っていますが)、少し離れて休息することで親の気持ちが安定したり、虐待を防げたり、必死に無理して「そばにいる」必要はなくて、軽やかに保育所を選択すればいい。
「無理をすること」は親の心を圧迫し、子どもの環境までも圧迫してしまうでしょう。

「そばにいる」も選択のひとつ、「保育所」も選択のひとつ、どちらも強要されたり義務化される必要はない。

一番大事なのは、親も子も、余裕をもって、愛を感じられる環境にいられること。

三歳児神話に賛成しかねるというのは、あくまでも「母親を圧迫する三歳児神話」であって、やはり安定した環境でつくられる心のベースキャンプは、その後の人生を進んでいく上でかけがえのない宝物です。

だから、「そばにいたい、けれど(援助の有無や周囲の雰囲気やのために)悩ましいので、保育園……」というママがいるなら、みんなで手を取り合って、「そばにいたい」側の気持ちをつなげたい。子どもとベッタリベッタリマンネリしかけるぐらい(笑)そばで過ごせる時間は、きっと、この幼い数年だけ……。

「何だかモヤモヤしている」「ちょっと息抜きしたい」 そんなとき、みんなでゴハンを食べたり保育しあったり、子どもと一緒に仕事したり勉強したり……まざるテラスが「無理をしない」「そばにいる」新しい形を、楽しく開いていける場所になったらいいなと心から願っています。

できることなら、子育てから復帰後のキャリア選択まで、一緒に開いていけたら最高です。

そういう場所……「そばにいたい、けれど」の「けれど」を解決していく方法が増えて、定期的な保育所の利用率が減ることで、そもそもの待機児童数が減っていく、それが一番うれしい対策です。

ですので、「保育所を増やそうぜー!(保育の質議論は目下ランク下げて、規制緩和だ!)」「じゃあ預けて働けるねー(母親の定説)」というような流れを感じると、モヤモヤモヤモヤしてしまいます。少子高齢な日本で、労働力不足(女性も働いてほしい)、財政難(働いて税金納めてほしい)、背景に色々あるのも理解していますが……。

ちなみに、東京都の対策資料内で「一時預かりの定期利用を、補助金で値下げして促進」という部分は大反対です。大事な一時預かりの枠、定期利用で枠自体が埋まったら、緊急利用や、ポイントでのちょっとした息抜き利用がまったくできなくなります。今、すでに起きている現象です。
「一時預かり」は、「そばにいる」を選択した親子の貴重なセーフティーネット、その余裕を守っていてほしいです。

以上、先日主人から「かなさんは“母はそばにいてあげて”の三歳児神話派だよね?」と予想外のコメントを投げられ「えっ! 違いますけどー!?!?(今まで色々話しているのになぜそんな脳内変換が!?!?)」と動揺し、さらに東京都の待機児童対策にもモヤモヤする部分がありまして、自分の想いを表明するためにも書いてみました。

(小池都知事に反対と言っているわけではないです、念のため!! 対策への予算、給与半額やら諸々、今後の動向も興味深いです)

皆さんは「東京都の待機児童解消の対策」「保育園義務教育化」「三歳児神話」について、どう感じているでしょうか?

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